トランジスタ の実験 スイッチ回路
トランジスタを使って電流を流したり、切ったりする実験を行います。
【トランジスタの基礎知識】
トランジスタは、P型半導体と、N型半導体を組み合わせた物です。
組合せの順番により、PNP型とNPN型が有ります。
右図はNPN型です。
PNP型は、2SA 2SBで始まる型番で、NPN型は2SC、2SDで始まります。
トランジスタの3本足は、エミッタ、ベース、コレクタと呼ばれます。
NPN型とPNP型では、矢印の方向に電流が流れますので、
電流の流れが逆になります。
トランジスタのN型半導体には(電子)が過剰にあり、P型には(電子)が不足して(正孔)が有ります。
これを組み合わせた物がトランジスタです。
この状態で、コレクタ ― エミッタ の間に電圧をかけても、電流は流れません。
しかし、この状態で、エミッタ - ベース 間に べ―スを+として電圧をかけます。
この時(電子)はマイナスですからエミッタからベースに(電子)は移動します。
この時、ベースが薄く作られていますので、(電子)はベースを通過してコレクタ側にまで移動してしまいます。
エミッタはマイナスですから、(電子)が供給され、コレクタのプラスに移動します。
ここで、(電子)はエミッタからコレクタに移動する事になります。
電流で説明すると、電流はプラスからマイナスへ流れるとされていますので、この状態を説明すると、コレクタからエミッタへ電流が流れたということになります。電流と(電子)の流れは反対に説明されます。(実際は同じ現象です)
電流で最初から説明すると、コレクタにプラス、エミッタにマイナスをつなぎ、ベースにプラス(コレクタより低電圧)をつなぐと、ベースからエミッタに電流が流れ、その結果コレクタからエミッタに電流が流れます。(電流で説明すると、意味不明ですが電子の移動で考えてください)
ここで重要な事は、ベースに少電流を流すと、コレクタ、エミッタ間に大きな電流が流れますので、スイッチ作用や、増幅作用ができます。
今回はNPNの2SC1815 を使った実験です。
2SC1815 写真上の足、上から E、C、Bの順です。
【規格表の見方】
絶対最大定格は、これ以上の電圧をかけたり、電流を流してはいけないということです。
コレクタ、エミッタ間には50Vが最大、コレクタ電流は150mAが最大です。
普通は最大値の半分ぐらいで設計します。
【トランジスタ スイッチング回路】
トランジスタに電流が流れるとLEDが発光します。
Rcは100Ω、Rb は 10KΩ を設定しています。
これは、実験ですから、安全性を見越しています。単純にトランジスタやLEDを無視すると
電源を電池2本3Vとすると、コレクタ側に流れる電流は電圧/抵抗ですから、3/100 =0.03A
30mA流れます。
ベース電流は 3/10000 =0.0003A 0.3mA です。
増幅率は コレクタ電流 / ベース電流で求められます。
(トランジスタやLEDの内部抵抗を無視して、簡易に安全のため設定しています)
トランジスタは電源側 コレクタ(C)、接地側 エミッタ(E)に電圧を接続されても電流は流れません。
そこに、ベース(B)から電流を流してやると、C から Eに電流が流れます。
微小な ベース電流で、大きく C-E 間に電流が流れますので、スイッチング回路になります。
ベース電流を調整すると、C-E間の電流が制御できます。これが増幅回路です。
今回は、スイッチング回路の実験です。
(1) まずLEDの動作を確認します。
LED (発光ダイオード)とは、ダイオードの一種に、電流を流すと光る物が有ります。
電流を流す方向が有ります。必ずアノードからカソードへ流します。
足の長い方がアノードです。必ず保護抵抗を入れてください。
電源は電池2本 3V の場合 抵抗 は50Ω ACアダプター5V の場合 抵抗 は150Ω
LED が光りましたか。光れば準備OKです。
(これをしないと、光らない場合はなにがなんだか分かりません。
実験をする場合は、一つ一つ確かめながらすると、結果に早くたどり着けます。)
(2) トランジスタを使ったLED発光回路
Rcは100Ω、Rb は 10KΩ
LEDが光れば実験は成功です。
トランジスタのベースの配線を外すとLEDは光りません。
トランジスタはベースからエミッタへ少量の電流を流すと、コレクタからエミッタへ大きな電流が流れます。
小さな信号で働くスイッチとしてトランジスタが使われます。
トランジスタのベース配線を外すとLEDが光らず、ベース配線をつなぐとLEDが光ります。